【レシピ付き】料理屋のすり身vol.2スモモ茶のジュレを合わせた冷製仕立て
二色の真薯は、トビアラ(サルエビ)と帆立貝。プリンッと弾力ある食感です。そこにシャキシャキのマコモ茸とインゲンを合わせ、酸桃(スモモ)茶のジュレをかけた冷製仕立てを考案したのは、法善寺横丁『浪速割烹 㐂川(きがわ)』の店主・上野 修さん。多彩な食感に、スモモの甘みや酸味、お茶の苦みと渋み、調味料の塩味が重なる表情の豊かさが魅力。「シャンパンに合う!」と会員が口を揃えた上野さんらしい一品のレシピをご紹介します。
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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上野 修さん(大阪・法善寺横丁|『浪速割烹 㐂川』店主)
1961年、大阪生まれ。19歳で『㐂川』に入店後、『志摩観光ホテル』のメインダイニング『ラ・メール』へ。総料理長・高橋忠之氏にフランス料理を学ぶ。1994年、『㐂川』二代目に。西洋料理の技術や発想、食材を柔軟に取り入れて仕立てる洗練された大阪好みの料理が持ち味。「大阪料理会」運営委員長。2020年に「現代の名工」、23年に黄綬褒章を授賞。
『浪速割烹 㐂川』上野 修さん作
冷製二種真薯の酸桃茶ジュレ仕立て
すり身というと、パッと真薯が浮かぶのですが、何か違う提案ができないかな…と思いまして。まだ暑さの残る時期に向く、冷製の一品を考えてみました。
少し前に中華を食べに行ったのですが、最後に桃のお茶をいただいて。風味がよくて、すごく美味しかったんです。それで、フルーツとお茶の組合せでジュレを作ったらどうか、と思って。少し酸味がほしかったので、スモモを使ってみました。
実はこのジュレを生かした一品を、というのが発想の原点。すり身はお茶との相性を考えて、鉄分の多い魚介ではなく、エビと帆立貝を選びました。
エビと帆立の二色真薯に、それぞれのだしを含ませる
赤色の真薯は、初夏から秋に大阪湾で揚がるトビアラを使っています。一部を粒切りにして、残りはすり身にして合わせています。ポイントは、頭と殻を昆布だしで煮出し、さらに煮詰めたエビだしで蒸し煮にすること。冷製でお出しするので、エビの存在感をより強調しようと考えました。
白色の方は、帆立貝です。ここには干し帆立貝のだしを、トビアラと同様に使います。
どちらの真薯も、ふわっとした歯触りではなく、少し弾力を持たせました。マコモ茸とインゲンでシャキシャキ感を添え、多彩な食感を楽しんでいただきます。
スモモの皮と番茶を煮出してジュレに
フルーツを使ったお茶は、甘み・酸味・渋み・苦みなど複雑な味わいが生まれますよね。このスモモのお茶は、デザートにしても美味しい。今夏、うちでお出ししていました。
料理に使う場合は、ベースに昆布だしを使います。水と昆布だしを合わせてほうじ茶を煮出し、ゼラチンを溶き入れます。別の鍋でスモモの皮を水だけで煮出し、合わせて冷やし固め、ジュレにしました。皮はフードドライヤーなどで乾燥させ、保存しておくといいですね。
露生姜をぽとりと落として味変を
多彩な食感と風味を楽しんでいただく一品ですが、露生姜で仕上げるかどうかで迷いまして…。うちの子たちと試食したところ、「どっちもアリ」という結論になって(笑)。それなら別添えして、味変を楽しんでもらおうと考えました。
スモモの皮とお茶の渋みや苦みが、ショウガ汁をポトッと落とすと、マスキングされるんですね。味がぐっと引き締まって、また違った風味が楽しめると思います。
無類のシャンパン好きである上野さんの一品とあって、「シャンパンが飲みたくなる味」というコメントが多々。スモモの酸味にお茶の苦みが加わったジュレの多層的な味わいに、新たな可能性を見出す会員が多く、「ジャスミンティーやウーロン茶を使っても面白そう」という意見も出た。
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