【レシピ付き】皮ごとすりおろした、むっちり生地の蓮根まんじゅう
平野の『和楽せき根』関根文幸さんがテーマ食材に選んだのは、2024年10月、「なにわの伝統野菜」に認定されたばかりの河内れんこん。その大半が門真(かどま)で作られていることから、地元では「門真れんこん」と謳っています。加熱するとむっちりとした食感になるため、蓮根まんじゅう向き。関根さんは、なんと皮ごとすりおろし、蒸してから成形し、揚げています。その独自のレシピと共に、「大阪料理会」の知恵袋・事務局の笹井良隆さんによる門真れんこんの解説もご紹介します。
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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関根文幸さん(大阪・平野|『和楽せき根』店主)
1963年、茨城県生まれ。辻󠄀調理師専門学校を卒業後、同校に日本料理教員として5年勤務する。2001年に独立し、『和楽せき根』を開店。接待や会食ではなく、ファミリーをターゲットに、安心感ある定番の和食を大切にしたリーズナブルなコースを楽しませる。「大阪料理会は新しい手法や食材に出合えるので刺激を受けてます」。
『和楽 せき根』関根文幸さん作 蓮根まんじゅう
僕の故郷の茨城県は、レンコンの生産量が日本一なんですよ。うちでは、名産地として知られる霞ケ浦(かすみがうら)産をよく使うのですが、みずみずしくて歯触りがよいのが特徴です。
昨年、「なにわの伝統野菜」に認定されたということで、今回はうちの定番の蓮根まんじゅうを門真れんこんで作ってみたのですが、茨城産との質感の違いに驚きました。すりおろしても水分があまり出ず、加熱すると、むっちりとした食感に。粘り気があるので、ほどよく弾力も出ました。
門真れんこんとは?
事務局・笹井良隆さんによる「門真れんこん」プチ講座より。
5000年ほど前の大阪の地図を見ると、その大半は河内潟(かわちがた)という湖だったことが分かります。そこに淀川や大和川から流れ込んだ土砂が溜まって砂地となり、大阪の町が形成されました。
そのため河内平野はほとんどが砂地で、門真辺りには沼がたくさんありました。そこで自生したのが、「地蓮(じばす)」。細くて貧弱だったため、江戸期の青物市場では相手にされず、細々と作られていたようです。
当時の河内の特産といえば木綿だったのですが、幕末の開港で海外の木綿が伝わり、綿花作りが衰退。それに代わる特産品としてレンコンに期待が集まりました。そこで、岡山の備中蓮根と加賀蓮根を導入し、地蓮を改良。でんぷん質が多い、良質なレンコンができました。これが「河内れんこん」の始まりで、その中心地となったのが門真です。
門真では、蓮池に池師が入り、足の親指でレンコンを探って潜って採るという「沈み掘り」の伝統がありました。この池師がひっぱりだこになり、和歌山や奈良までレンコンを掘りに行ったという資料が残されています。
加賀蓮根は戦後、品種改良されていますので、昔ながらの加賀蓮根の特徴を受け継いでいるのは、河内れんこんといえます。加熱するともっちりとして、まさに蓮根まんじゅう向き。
農家の方々も口を揃えて話しますが、レンコンは皮が旨いんですよ。ですから、今回の関根さんの皮ごと使う提案は理に適っています。そして、何より鮮度が重要です。掘ってから1週間以内に使うことをお勧めします(事務局・笹井良隆さん談)。
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