【レシピ付き】 炭火焼きせずとも、鮎らしさ全開。大阪『和食とお酒 蒼』の鮎で和えた水茄子とキュウリ
「和食の夏の定番といえば鮎の塩焼きですが、ウチには炭床がなくて」と話すのは、『和食とお酒 蒼(あお)』店主・福本雄紀さん。そんなウィークポイントから生まれた発想が、焼き鮎のほぐし身と鮎魚醤を合わせたペーストです。水茄子と風干しキュウリに、たっぷりの鮎ペーストを絡めるだけで提供可能という手軽さ。ほろ苦い夏の旨みと夏野菜の鮮やかな食感は、杯が進むこと必至です。
「僕は奈良・橿原(かしはら)出身で、父は吉野育ち。だからヤマメや鮎など川魚が大好きで」と『和食とお酒 蒼』の福本さん。しかし、ミニマムな厨房に炭床を置くスペースはなく、炭火を扱うことができない。焼魚に用いるのはもっぱら、ガス火のサラマンダーだ。
それでも「炭火の塩焼きに匹敵するような肴を作りたい」と“鮎をより鮎らしく味わえる”料理を考案。焼き鮎のほぐし身に、鮎魚醤を合わせた「鮎のペースト」を味の要とした。
合わせる夏野菜の食感にコントラストを持たせることで噛む回数が増え、より一層、鮎の風味を増すという算段だ。
鮎のほぐし身と発酵調味料の重ね技
この日、用いる鮎は15cmほどのサイズ。太白ゴマ油を塗り、薄く塩を当てたらサラマンダーにのせ、弱火で30分ほどかけて焼く。「油を塗るのは、ある程度焦げ目をつけ、その香りを生かしたいため。そして鮎が持つ水分をゆっくり飛ばしていくイメージです」。
焼き上がったら中骨のみを取り除き、フードプロセッサーへ。「鮎の風味を生かしたいから、内臓や頭、小骨も加えます」。鮎のサイズが小さい場合は、中骨も外さなくてOKだ。
撹拌する際、欠かせないのが発酵調味料である鮎魚醤。
福本さんが愛用するのは、大分・日田(ひた)市の老舗醤油屋『まるはら』製。鮎と塩のみを用い、約8カ月熟成させている。曰く「旨みが強いんです。しかも焼いた鮎に合わせると、鮎の風味が深まります。この商品が手に入らない場合は、市販の鮎魚醤でも大丈夫ですよ」。
太白ゴマ油と塩を加え、状態を見ながら撹拌する。「太白ゴマ油でのばす理由は、日持ちを考慮して(冷蔵庫で2週間保存が可能)。また、冷蔵保存するので、やや緩めの状態にした方が使いやすいと思います。とはいえ、噛んで広がる旨みも感じてほしいから、撹拌は少し粗めの状態がベストです」。
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