【レシピ付き】ふくさ(袱紗)寿司
ふくさ寿司とは、ふくさ布に見立てた錦紙玉子(薄焼き玉子)で寿司飯を四角く包んだもの。「辻󠄀調理師専門学校」の濱本良司先生によるふくさ寿司は、なんとも美しい錦紙玉子が印象的です。寿司飯にはたっぷりと具を入れ、煮穴子を重ねて贅沢な味わいに。食べやすさにもこだわった一品です。
撮影:東谷幸一 / 協力:辻󠄀調理師専門学校
錦紙玉子を美しく仕上げるコツ
ふくさ寿司のポイントは、美しい錦紙玉子で寿司飯を包むこと。たかが玉子、されど玉子で、意外とコツがいるんです。
まず、卵は全卵2つに対して卵黄を4つ加えます。キレイな黄色に焼き上がりますし、コクが出て、破れにくくなります。片栗粉を入れて強度を増す方法もありますが、粉っぽくなるので卵黄を加える方がいいですね。
次に焼き方ですが、巻き鍋(玉子焼き鍋)を通常通りに熱すると四隅に火が行き届かない、つまりまだらに焼けてしまうので、少し火から離れた高い位置で熱し、じっくりと均一に火が入るようにします。可能ならば五徳(ゴトク)を重ねて、難しければ手で持ち上げて熱します。
火加減も重要で、卵生地を箸に付けて線を引いた時に「ジュッ」と音が鳴るようであれば強すぎます。音が鳴らないような火加減で卵生地を流し入れましょう。
意外に盲点なのが、換気扇の風。付けたままにしていると、風の流れで玉子にシワが寄ってしまうんです。消しておくのが無難です。
表面が乾いたら裏返しますが、箸を玉子の下に通すと跡が付いてしまうので、四隅をなぞって少し持ち上げたら、手でひっくり返します。熱いですが、美しい錦紙玉子に仕上げるためには必要です。
焼き上げたらすぐに半紙にはさみ、余分な油を取り除きます。他の紙類も試しましたが、半紙が一番、油の吸収がいいですね。
具は旨みや食感で選び、甘辛く煮上げる
今回、寿司飯には細かく刻んだ椎茸旨煮、干瓢旨煮、生姜甘酢漬け、もみ海苔を加え混ぜ、イカとエビのそぼろ、煮穴子を重ねます。旨みや食感のあるものを中心に選びました。
錦紙玉子の調味は塩だけですし、調味料を付けて食べるものではないので、椎茸や干瓢は甘辛く煮詰め、穴子も醤油ベースの煮汁で煮含めてしっかりめの味付けに。それだけだと甘ったるくなってしまうので、生姜の甘酢漬けを加えました。酸味と辛味が口中をさっぱりさせてくれます。
上にのせる具はエビや酢〆にした鯛などでもいいのですが、食べやすい状態にしておくことがポイント。煮穴子であれば寿司飯を覆うようにのせても箸で切れるのでオススメです。
▼料理用語の「ふくさ(袱紗)」のはなしはコチラ。
月額990円(税込)で限定記事が読み放題。
今なら初回30日間無料。
フォローして最新情報をチェック!
会員限定記事が
読み放題
月額990円(税込)初回30日間無料。
※決済情報のご登録が必要です
この連載の他の記事日本料理のことば
月額990円(税込)初回30日間無料。
※決済情報のご登録が必要です