京都『飯田』の美学

福を招くもてなし

「“料理屋”が作る恵方巻、それが2月で一番の見せ場ですね」と、店主の飯田真一さん。節分と初午(はつうま)を主題とする2月は、初午にいただく風習がある稲荷ずしをアレンジした椀物や、見た目からは想像ができない驚きを忍ばせた恵方巻など、歳時を楽しく美味しく感じさせるアイデアが満載です。

文:川島美保 / 撮影:岡森大輔

鬼は外、福は内

京都が最も寒さを増す2月。主題は「節分と初午(はつうま)」。床の間に飾られているのは、大豆を山に盛り付けた半升枡と大津絵の鬼の寒念仏を描いた掛け軸だ。
「寒いこの季節にも、節分にもピッタリだと思いまして」と飯田さん。
    
カウンター席へと進むと目に入るのは、穏やかな微笑みを浮かべる福の神の面。
「鬼は外、福は内です」。
明快で粋な演出で、2月の食事は始まる。

日本料理『飯田』大津絵「鬼の寒念仏」
大津絵とは、滋賀県大津市で江戸時代初期から明治にかけて制作され、今でも愛されている風刺画。写真の「鬼の寒念仏」は最も代表的な絵柄の一つで、僧衣をまとった鬼を描いたもの。見せかけと心の内が異なる偽善者を皮肉ったもの。味わい深い色合いの半升枡は江戸時代のものという貴重な骨董品。

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