浪速割烹の“動く”料理

【動画レシピ付き】“若竹”のアレンジ版「竹の子まんじゅう 若布あんかけ」

筍は早春から出回るため、土佐煮、若竹椀、木の芽和え…と旬味を満喫したお客様にとっては、そろそろ飽きがくる頃。そんな時、「こんな風に趣向を変えてお出しすると、名残りの筍も喜ばれます」と北新地の割烹『さか本』の元大将の坂本靖彦さん。筍をすり下ろし、食感に穂先や姫皮も加えて生地を作るため、「他の料理に使う筍の切れ端もここで活用してください」。浪速割烹らしい“始末の心”とアイデアが生んだ、変わり“若竹”。細やかな仕事を動画で配信します。

文:中本由美子 / 撮影:福本 旭

筍はお節にも入れるくらいですから、新春には九州産が出回りますよね。うちの割烹でも、立春を過ぎたら、筍の料理を品書きに加え始めます。
そうすると、3月、4月には「筍はもう飽きた」なんて声がお客様から聞こえてくる。それで20年ほど前に、趣向を変えた一品を、と考えたのが、竹の子まんじゅうです。いわば“若竹”のアレンジ版ですね。

この一品は、筍を丸ごと余さず使えることがポイントです。下茹でした筍の、根元をすり下ろして生地を作り、下ろしきれなかった部分と穂先を淡口八方だしで煮て合わせます。ここでぜひ加えてほしいのが、姫皮です。とりわけ香りがいい部分ですから、捨てるなんてとんでもない! ざっくりと刻んで生地に足すと、筍の風味がぐっと増しますよ。

この時季は土佐煮に若竹煮、木の芽和え…と、いろいろな筍料理を用意するため、大量に下茹でをするでしょう。その中で出てくる、ちょっと硬い部分や切れ端なんかも刻んで、ぜひ生地に加えてくださいね! 

穂先を煮た後の煮汁も、筍の旨みが溶け出ていますから、これを活用しない手はないでしょう。2:3でカツオ昆布だしと割って、ワカメを加えて、あんにします。早春から新ワカメが出てきますが、この料理には磯の香りが強すぎるかなと思うので、うちではあえて塩蔵を使います。

竹の子まんじゅうは、淡口八方だしで煮た穂先だけに味が入っています。筍の繊細な風味を生かすため薄味にしているので、若芽あんの味加減は「旨すぎないように」。若竹椀の吸い地より、ちょっと濃いめくらいが調度いいはずです。
あんに使う水溶き吉野葛は、吉野葛のアクを抜き、硬さを安定させることが大事。そのコツを「蓮根まんじゅう」の回でご紹介していますから、ぜひ復習してみてください!

「竹の子まんじゅう 若布あんかけ」の作り方

(竹の子まんじゅうの下準備をする)
①    下茹でした筍の皮を剥く。根元をきれいに整え、硬い部分は剥き取り、先を切り落とす。
②    穂先を粗せん切りにする。姫皮をざっくりと切る。
③    根元をすり下ろす。
④    すり下ろしきれなかった筍をざっくりと切る。

(穂先を下煮する)
⑤    ②と④を合わせて計150gにし、淡口八方だしで10分ほど煮る。
⑥    陸上げし、うちわで扇いで水気を飛ばしておく。
【淡口八方だしの塩梅】※筍の穂先150g分の分量
カツオ昆布だし…600㎖/淡口醤油…10㎖/みりん…10㎖

(竹の子まんじゅうを作る)
⑦    鍋に③のおろし筍200g、カツオ昆布だし54㎖、水溶き吉野葛40㎖を入れ、しっかりと混ぜ合わせておく。
⑧    強火にかけて煉り、生地が温まったら、とろ火に変えて煉り続ける。透明感が出て、生地が重たくなったら、火から外す。
⑨    ⑦を加え、ざっくりと混ぜ合わせる。
⑩    1人前60gをラップに取り、茶巾に絞って、輪ゴムで止める。
⑪    蒸気の上がった蒸し器に⑩を入れ、約10分、強火で蒸す(ここまでを営業前に仕込んでおく)。

(若布あんを作る)
⑫    ⑤の煮汁40㎖にカツオ昆布だし60㎖を合わせ、火にかける。
⑬    塩と淡口醤油で、若竹の吸物より少し濃いめに味を調える。
⑭    塩蔵ワカメを塩抜きして適宜切り、生麩と共に加える。
⑮    ひと煮立ちしたら、水溶き吉野葛を加え、とろみを付ける。

(仕上げる)
⑯    ③⑪のラップを外し、片栗粉を付けて160℃の油できつね色になるまで揚げる。
⑰    お椀に⑯を盛り、⑮の若布あんをかける。
⑱    淡口八方だしで煮た筍の穂先、塩茹でした菜の花をあしらい、天に木の芽を盛る。

【坂本流 水溶き吉野葛】
60gの吉野葛を50㎖の水で溶き、1日寝かせる。上澄みを捨て、18㎖の水を加えて溶く。

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