浪速割烹の“動く”料理

【動画レシピ付き】小芋を色白に煮上げる「白煮」のコツとは?

小芋は、里芋の中でも、親芋の周りに付く小さな芋のこと。料理屋では、醤油色を付けた「にっころがし」よりも、薄味で色白に煮上げる「白煮(はくに)」が好まれます。「『浪速割烹 㐂川(きがわ)』で煮方をしていた時は、毎日のように小芋を炊いてました」と話す、北新地の割烹『さか本』の元大将・坂本靖彦さん。今回は「小芋の白煮」の極意を動画で配信。大阪が原産の石川小芋(石川早生)を使って、色白に炊き上げるコツを教えていただきました。

文:中本由美子 / 撮影:福本 旭

目次

料理屋が好む小芋とは?

里芋は真ん中に親芋ができ、その周りに小さな芋ができます。これを「小芋」または「子芋」と言います。料理屋では早作りの早生(わせ)を好んで使いますね。

その代表格といえば、石川早生。今は石川小芋という名でも通っていますね。原産は大阪の南河内(みなみかわち)群石川村(現・河南町)。今では九州南部を中心に全国で作られていますが、元は「なにわの伝統野菜」なんですよ。

淡口醤油を煮上がりに

素朴な里芋と違って、小芋は白くて、味わいに品があるでしょう。その繊細な風味と色を損なわないように、薄味で炊くことが大切です。

素材の白さを生かして煮ることを「白煮」と言いますね。小芋は醤油の色を付けて煮転がすよりも、白煮にした方が料理屋向きだと思います。

色白に煮上げるためには、醤油の色を付けないことが大事。だしと塩・みりんだけで炊き始め、煮上がりに淡口醤油を少し加えるのが私の炊き方です。

醤油に頼らず、深い味を付けるためには、だしの味をしっかりめにするといいので、煮汁をひと煮立ちさせたら追いガツオをしています。
煮上げたら、そのまま数時間置いて、味を含ませておいてください。

きれいに煮上げるコツは?

小芋は、まず米の研ぎ汁で下茹でします。米ぬかに含まれる成分のおかげか、ぬめりが取れて、すっきりした味になるんですね。

下茹では竹串がすっと通るまで、が目安ですが、この時、竹串は底から刺すこと。盛り付ける時に上にする面に穴が開いてしまっては台無しです。あまり深く串を刺すとヒビが入るので、気を付けてくださいね。

あとは合わせだしでコトコトと約45分、とろ火で煮ていきます。煮汁はかぶるくらいの状態を保つのがベストですが、鍋のサイズが合わずに煮汁から小芋が出てしまう場合は、紙蓋をするといいですね。木製の落とし蓋をすると型崩れしますから、必ず紙を使ってください。
きれいに煮上げるためには、こうした些細なところに気を配ることが大事なんですよ。

「小芋の白煮」はアレンジ自在

早生種は本来7~10月頃が旬ですが、小芋は年中出回っています。夏から秋は衣(きぬ)かつぎにもしますが、うちでは通年、白煮にして作り置いていました。

片栗粉を付けて唐揚げにすると美味しいですよね。柚子皮入りのおろしをのせ、揚げだしとしてよくお出ししました。「小芋海老あんかけ」など、あんかけ仕立ても人気でしたよ。

小芋の白煮は、煮物に添えてもいいんですね。春なら鯛の子を炊いた煮汁でさっと煮て添えたり、煮魚の煮上がりに加えて一緒に炊き上げたり。うちは薄味で仕込んでいるので、こんなアレンジも自在でした。

初夏から残暑の頃までは、キンと冷やして振り柚子で、というリクエストも多かったですね。小芋本来の味わいが楽しめると、年配の常連さんに喜んでいただきました。

「小芋の白煮」の作り方

小芋を洗い、八方むきにする。
鍋に米の研ぎ汁と①を入れ、強火にかける。沸いたらとろ火にし、竹串がすっと通るまで茹でる。
②の鍋に水を注ぎ入れて徐々に冷まし、洗ってぬめりを取る。
別の鍋に③とカツオ昆布だし1080㎖・塩2g・みりん10㎖を入れる。ひと煮立ちさせたら、追いガツオをし、とろ火に変えて約45分煮る。小芋が煮汁から出る場合は、紙蓋をする。煮上がりの直前に淡口醤油を少し加え、ひと煮立ちさせる。
粗熱が取れたら煮汁ごとバットに移す。煮汁から小芋が出てしまう場合は、④の紙蓋を被せ、冷蔵庫で冷やして味を含ませる。
うつわに⑤を盛り(大きければ半分に切る)、少し煮汁をかける。振り柚子をし、塩茹でした絹サヤエンドウをあしらう。

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