仕込みで差がつく! スピード酒肴レシピ

【レシピ付き】いしりが隠し味!金沢『酒屋 彌三郎』の山菜の新生姜浸し

「おひたし」は、さっと盛り付けて提供でき、アレンジの幅も広いスピード酒肴。さまざまな種類の野菜で作ることができ、山菜の調理法としても定番の一つです。今回は『酒屋 彌三郎(さかや やさぶろう)』店主・荒木和男さんが作る、数種の山菜とフレッシュな新ショウガを組み合わせた、みずみずしいおひたしをご紹介。地元の発酵調味料「いしり」の使い方にも注目です。

文:坂下有紀 / 撮影:田中祐樹

『酒屋 彌三郎』は、築100年の町家をリノベーションした和食店で、地物の野菜や魚介、肉類を使った料理と、吟味した日本酒、ワインを提供する店として、舌の肥えた人々が県内外から訪れる。居酒屋と割烹の中間のような使い勝手の良さに、隠れ家的な雰囲気も相まってリピート客が絶えない。

店名の彌三郎は店主の曾祖父の名で、酒屋は実家の屋号(家の通称・門名)。江戸時代には農家の傍ら酒造りを行い、のちに酒の卸売業をしていたことに由来する。荒木家は先祖代々、酒と食に縁が深いようだ。

今回紹介する「山菜の新生姜浸し」は、春になると『酒屋 彌三郎』のおすすめに登場する定番メニュー。「地物の山菜が出回るシーズンに毎年作る一品で、日本酒にも白ワインにもよく合います」と荒木さん。

大地の生命力を感じる緑の香り、甘み、ほろ苦さ。シャキシャキ、コリコリ、ねっとりした食感。味わいも歯応えも違う数種の山菜が、多重奏を奏でるように一皿の中に集い、爽やかな新ショウガの風味をまとった浸し地が、指揮者のごとく一つにまとめ上げる。浸し地はカツオ昆布だしに、石川・能登のいしり(魚醤)と珠洲(すず)の塩を隠し味程度に加えた淡味仕立てだ。

5種の山菜を組み合わせ、多層的な味わいに

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「里山が近い金沢は山菜も手に入りやすく、うちでは信頼する八百屋『松田久直商店』さんを中心に、農協や生産者の直売所なども利用して、新鮮な地物を仕入れています。その日に採れたものは味も香りもパワーがあります」。

山菜は移ろいが早く、その時々で採れるものが違う。この日使った山菜は、山ウド、タラノ芽、コゴミ、ウルイ、アサツキ。数種の山菜を組み合わせることで、香り、味が単調にならず、食感や見た目にもアクセントが生まれる。

今回は比較的エグミが少なく、淡い味わいのラインナップだが、極端にアクが強いもの、香りの主張が強いものを除けば、どんな山菜でも応用が利き、フキやワラビ、ゼンマイなどもアク抜きすれば使えるとのこと。

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