日本料理のことば

おせち【御節】のレシピVol.1たたきごぼうと田作り(ごまめ)

一年を健やかに、豊かに暮らせますように──。長寿や無病息災などの願いを込めた料理をお重に詰める「おせち」。その中でも欠かせない5つの料理のレシピを「辻󠄀調理師専門学校」の岡本健二先生に教わり、3回に渡ってお届けします。Vol.1は、叩いて開くことから開運を意味する「たたきごぼう」と、五穀豊穣と子孫繁栄の願いを込めた「田作り(ごまめ)」。どちらも、食感がポイントです。

聞き書き:中本由美子 / 料理制作:「辻󠄀調理師専門学校」岡本 健二
撮影:東谷 幸一 / 協力:辻󠄀調理師専門学校

目次


「たたきごぼう」は歯ごたえが決め手

たたきごぼうの調理のコツは、ゴボウをいかに風味よく、歯ごたえよく仕上げるか。洗い方、茹で方、煮方など、それぞれの工程に気を配るポイントがあります。

まず、ゴボウの洗い方から。表面の汚れだけを取るイメージで、タワシで軽くこすって洗います。ゴボウの風味はこの表面にあるので、こそげ取ってしまわないよう気を付けてください。次に5~6㎜角で4㎝長さに切りますが、食感がまばらにならないよう、大きさを揃えることが大事です。

米の研ぎ汁(白水)で下茹でする時は、歯ごたえが残るよう火を通すこと。茹ですぎは禁物なので、必ず食べて確認してください。白い部分に透明感が出て、少し硬いかな、と思うくらいがベストです。茹ですぎて柔らかくなってしまった場合は、氷水に取ると身が締まりますよ。

これをさっと煮て下味を入れますが、この時も味見をしながら、食感が残るくらいに煮上げてください。煮汁ごと冷ましておけば、味がしっかりと入ります。

水っぽい仕上がりにならないよう、ゴマ衣と和える直前に、ゴボウの水分を飛ばしておくことも大切です。煮汁ごとさっと温めて陸上げするといいですが、下煮の際にゴボウが少し柔らかいと思ったら、煮汁だけ温めてゴボウを潜らせる方法も。逆に少し硬い場合は、ここで再び軽く煮てから陸上げするといいですね。

ゴマ衣は、今回は煎りゴマを半摺りにして、ゴマの粒感を残しましたが、もう少しとろっとした濃度が欲しい場合は、6~7割ほどすり潰してください。汁気を飛ばしたゴボウを和えたら、すりこぎを押し付けて軽く繊維を壊すと、ゴマ衣がよく馴染みます。

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