浪速割烹の“動く”料理

【動画レシピ付き】助子で針生姜を包んで煮る「たいの子生姜煮」

2019年春、35年の歴史に一度幕を閉じた大阪は北新地が誇る浪速割烹『さか本』。惜しまれながらも引退した大将・坂本靖彦さんが、浪速割烹の技と心を伝えるべく、再び庖丁を握ります! 山に入って山菜を採り、初夏からは鮎釣りもする坂本さんが、割烹を舞台に磨いてきた知識と技。その古き佳き仕事を、動画にて大公開します! 第1回目は、大阪で“たいの子”として親しまれる助子(スケコ)の『さか本』流煮付けです。

文:中本由美子 / 撮影:福本 旭

大阪では昔から、スケソウダラの子(卵)が出回る冬から春先まで、これを“たいの子”と呼んで煮付けにします。桜が咲く春爛漫の頃には鯛が子をはらみ、本物の“鯛の子”が出てくるんですから、ややこしいのですが(笑)。本来の呼び名は助子で、タラコとして知られています。その房を開いて針生姜を包んで煮るのが、『さか本』流。桜鯛が出てきたら同様にして、白子も一緒に炊くと美味しいですよ。

助子を開いて生姜をくるくると巻きこんだら、一度下茹でし、とろ火でゆっくり1時間ほどかけて炊いていきます。調味料は最初からすべて入れてしまうのではなく、8割程度の量にしておき、煮上げる直前に味を見て、足りない味を加えるくらいがいいでしょう。あまり濃い味で炊いてしまうと繊細な持ち味が損なわれてしまうので、やや淡いかな?というくらいで煮上げて、3時間ほど置いて味を馴染ませておくと、ちょうどいい加減に仕上がりますよ。

今回は、小芋と炊合せにしました。ばらけた子は、百合根や銀杏と卵とじにするといいですね。碓井豌豆(うすいえんどう)が出てきたら、この卵とじに木ノ芽の香り合わせると、晩春らしい一品になります。


「たいの子生姜煮」の作り方

①助子500gの房が繋がっているところを切り離し、そこから横に庖丁を入れて、房を開く。
②皮を上にして針生姜をのせ、端から包んでいく。
③沸騰した湯で②を下茹でする。煮崩れしないよう、ここでしっかりと火を通し、冷水に落とす。この時、ばらけてしまった子もすべて冷水にとっておく。
④一つずつ手に取り、その手の形が残るくらいしっかりと握って、水気を切る。ばらけた子もキッチンペーパーなどを使って濾す。
⑤鍋にカツオ昆布のだし1150㎖と調味料(酒290㎖、砂糖25g、みりん10㎖、淡口醤油24㎖、塩2g)を合わせてひと煮立ちさせたら、④をばらけた子も一緒に入れる。弱火からとろ火で1時間ほど炊いていく。

フォローして最新情報をチェック!

Instagram Twitter Facebook YouTube

この連載の他の記事浪速割烹の“動く”料理

無料記事

Free Article

おすすめテーマ

PrevNext

#人気のタグ

Page Top
会員限定記事が読み放題!

月額990円(税込)初回30日間無料。
※決済情報のご登録が必要です