和惣菜とクラフトビールのペアリング
『CRAFT BEER BASE(以下、CBB)』オーナーの谷 和(あい)さんは“単独で飲んで美味しい”より、“食中に飲んでこそ美味しい”クラフトビール造りを行う醸造家の一人。前編では、味づくりの秘訣についてお話しいただきました。後編では、和惣菜とクラフトビールを共に味わい、その相乗効果を検証します。
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谷 和さん(大阪『CRAFT BEER BASE』代表取締役社長)
「ビールを正しく広める」をテーマに、大阪・大淀にて醸造所とビアパブ、ボトルショップからなる複合施設『CRAFT BEER BASE MOTHER TREE』を展開する。また、梅田周辺ではビアパブ『BUD(バド)』、『BRUNCH』など姉妹店やボトルショップも運営。また、ビール審査のエキスパートであるビアジャッジの資格を持ち、クラフトビールの国際コンペティションでは日本代表として審査員を務める。
和食とのペアリングを目指して作ったビール
「和食にビールを合わせるには、日本独自の味づくりが必要です」と、前編で熱く語っていた谷さん。目指すべき味わいに狙いを定め、どうレシピを組み立てるかが重要だ。
2023年にリリースした、「空知絹雪(そらちきぬゆき)」(右)と「和醸燻酒(わじょうくんしゅ)」。
例えば、自社醸造の2種。
前編でも紹介した右の「空知絹雪」は、麦芽(モルト)に対して15%の黄麹と、5%の白麹を用いる。黄麹の柔らかな甘みとシルクのような舌ざわりに、白麹が持つほんのりとした酸味をプラス。日本生まれのホップ「Sorachi Ace(ソラチエース)」を加え、杉を思わせる香りを引き出した。
一方、左の「和醸燻酒」は和食の「だし」に着目し、醸造のレシピを組んだという。
「以前、黄麹を使ったビールを仕込む際に、なんとも心地の良いキノコのようなアロマを感じて」と谷さん。そこで、麦芽には醤油や味噌のメイラード香のような「メラノイジンモルト」や、カツオ節の燻香に通ずる香りがある「スモークモルト」を使い、黄麹で味わいのバランスを整えた。和のだしに通じるアロマ・フレーバーを、ビールの原材料から組み立てたのだ。
谷さん曰く「グッと重厚感のあるリッチな味わいながら、ドライ。ドリンカブルな仕上がりになったと思います」。
左/「空知絹雪」ベースとなるピルスナーモルトは全麦芽の80%を使用。そこに黄麹15%と白麹5%を合わせる。右/「和醸燻酒」に用いるモルトの1種が、スモークモルト。口に含むと燻したような香ばしさが広がり、「和食のニュアンスに通ずるモルトを組み合わせて、味わいのレイヤーをつけます」と谷さん。
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