大阪料理会

【レシピ付き】夏祭りをテーマにした「前菜3種盛り」

7月半ばに行われた大阪料理会で、京橋『はしま』の山本 英(はなぶさ)さんが披露したのは、天神祭をテーマにした前菜。“祭り鱧”と言われるほど大阪の夏祭りには欠かせない鱧と、天神さんのお膝元が原産の毛馬胡瓜を使った一品に、縁起物の「白蒸し」を添えて。地元の行事にまつわる食を伝えることも、料理屋の大切な役割の一つ。そこに、山本さんならではのアイデアを加えて仕立てた3種盛りです。

※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/

聞き書き:中本由美子 / 撮影:福本 旭

目次

山本 英さん(大阪・京橋|『はしま』店主)

1977年、大阪市生まれ。中央大学英文学科を卒業後、22歳で父が営む『はしま』に入店。和食の基礎を学び、25歳で店長に。「コースの中でいろんなタイプの“美味しさ”を表現したい」と意欲を燃やし、京橋では希少な日本料理店として人気を獲得。大阪料理会では、探究心旺盛な40代として活躍が期待されている。

『はしま』山本 英さん作
天神祭の前菜

大阪の夏祭りといえば、大阪天満宮の天神祭。言わずと知れた日本三大祭の一つです。うちはコースをお出ししているのですが、この時季は、天神祭にゆかりのある食をテーマに前菜を仕立てます。

本宮の日は陸渡御、船渡御と奉納花火が行われますが、その渡御列の参加者が携帯するのが縁起物の「白蒸し」。昔から祭の日には家庭の食卓に上がったという「鱧ざく」に、この時季のご馳走であるアワビの一品を添えた3種盛りをご紹介します。

具材の組合せは、大阪名物の「白蒸し」がヒント

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うちの店では前菜に一口の寿司を付けることが多いのですが、天神祭の時季は「白蒸し」を笹巻にしてお出ししています。もち米は神聖なものですから、この縁起物を通して、お客様に祭気分を楽しんでいただけたらと思っています。

具なしの白蒸しではさすがに味気ないので、大阪人の好物『絹笠』の「とん蝶」をヒントにアレンジしました。「とん蝶」の具材は、大豆と昆布、カリカリの小梅。これを、枝豆、黒板昆布の佃煮、白干し梅(赤シソを使わない梅干し)に置き換えて、親しみのある味に仕上げています。

白蒸しのレシピ

【材料(25人前)】

もち米……3合
梅干し……8~10個
枝豆……1袋(200~250g)
すりゴマ・塩・黒板昆布煮※1・笹……各適量

※1:黒板昆布煮
米酢を温め、同量のザラメを溶かす。深バットに移し、黒板昆布を浸けて40~50分蒸し、おか上げする。黒板昆布を食べやすい大きさに切る。たまり醤油を温め、同量のザラメを溶かす。別の深バットに移して黒板昆布を浸け、30~40分蒸して味を入れ、そのまま浸しておく。

【作り方】

もち米を洗い、30分ほどザルに上げる。水加減して塩で味を付け、炊飯器で炊く。
枝豆を塩茹でし、薄皮を取る。
棒寿司の型にラップを重ねて①を適量入れ、②を少し加え、①を再度重ねる。黒板昆布煮をのせ、適宜切った梅干しとゴマ、②の枝豆を適量のせて押す。切り分けて笹で巻く。
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