上野修三の古典

【レシピ付き】“始末の心”で仕立てる、鶉(ウズラ)と栗の名作

2021.11.04
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連載:上野修三の古典

今年はなかなか秋が深まらず、すでに暦の上では冬。「料理屋にとって秋は心躍る季節やのに、これじゃ実りの季節を楽しんでもらう暇もない…」。そこで、上野修三さんが今回テーマに選んだのは名残りの秋。ウズラと栗を使って、この時季、常連客に喜ばれたという往年の名作3品をご指南いただきます。ウズラは骨から出る旨みを逃さずに使い切ること。大阪が誇る大粒な料理栗「能勢銀寄栗(のせぎんよせぐり)」の穏やかな甘みの生かし方。長く作り続けた中で見出したコツには、上野さんの信条でもある“始末の心”が息づいています。

上野修三(うえのしゅうぞう):昭和10年、大阪・河内長野に生まれる。ミナミでの修業時代を経て、1965年、『㐂川(きがわ)』を創業。なにわ伝統野菜を発掘するなど、大阪らしい料理を追求し、浪速割烹のカタチをつくる。60歳で開店した『天神坂上野』は伝説の割烹として名を馳せた。現在は、なにわの食文化を綴る随筆家としても活躍。近著に「浪速割烹㐂川のおいしい野菜図鑑」春夏編・秋冬編(共に西日本出版社)がある。

聞き書き:中本由美子 / 撮影:東谷幸一

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鶉の真丈椀——骨から出る旨みを逃さず、吸い地に真丈に

そういえば、和食の品書きにウズラって文字を見かけなくなりましたな。今やフレンチの食材と思われているようやけど、「古事記」や「万葉集」にも登場するほど、ウズラは日本でも昔から親しまれてきたんでっせ。というても、昔は食していた、というより、鳴き声を楽しんでいたようだすな。

昭和30年代の修業時代から、ウズラはよぉ使いましたで。定番は、鍬(くわ)焼きや、竜田揚げ。独立してからは、コースの一品としてもお出ししましたな。ヒヨドリやツグミと、珍しい野鳥は片っ端から使ってネ。あの頃は、新しい料理を考えるのが楽しくて仕方なかったんだすな。

ウズラはほぼ捨てるところがない、始末のいい食材だす。昔は骨などのガラは捨ててましたけどネ、私ゃもったいない!とスープを取ってみたんだす。コレが驚くほど旨い! 焼いたり揚げたりするより、ガラスープを生かした料理の方が断然いいと、この真丈椀を考案したんだす。

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