今月の和菓子

11月の和菓子——山路(やまみち)

嵐山に貴船、寺社の木々の葉が紅葉し、まさに“錦秋の京都”と呼ぶに相応しい季節です。秋の色合いや姿を映した京都の和菓子は、きんとんや型押し、蒸し菓子の村雨など、とにかく多彩。『千本玉壽軒(せんぼんたまじゅけん)』三代目・元島真弥さんも、日々色づいていく山の色合いを写すようにして、この一菓の色を変化させていくと言います。艶やかな見た目、そして、秋の味覚・栗のあんの味わわせ方は必見です。

文:小林明子 / 撮影:岡森大輔

「色彩が目を、風味豊かな栗が舌を、それぞれ楽しませます」。

山中に続く細い道を意味する「山路」は一般的には“やまじ”と読むが、京都の和菓子界では“やまみち”と読ませる店も少なくない。うっそうと葉が茂る野山の風景を指すため、ひと口に山路と言っても新緑の頃を表現した緑色もある。とは言え、多くの人が思い描くのは紅葉を表現した赤や黄色の「山路」だ。

基本になるのは、赤と黄色に染め分けたこなし生地。赤は印象に残りやすいので、黄色の部分がやや広くなるようにバランスを整えている。紅葉の進み次第では緑色の部分を作ったり、赤と黄色の割合を変えるといった遊び心を加える時も。紅葉が名物でもある京都では、そのような表現の細やかさも一つのテクニックだ。

こなし生地の上には、黒こしあんと栗あんをのせるのだが、均等な断面になるようフラットに重ねることに心を砕く。ロールケーキのように巻いて成型した後、くぼみを作って山容(さんよう)を表現。幅が広い羊羹庖丁でカットする。芯になる栗あんは、風味が出るように渋皮つきで蜜煮し、裏ごしを2回かけて砂糖と少しの白あんを混ぜている。食感がなめらかになることと、白あんが喉に留まるため、栗100%で作るよりも栗らしく感じられるという。

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