うなぎの名産地はどこ? 注目の産地とその特徴
2024年、夏の土用の丑(うし)の日は7月24日と8月5日。「丑の日に『う』の付くものを食べて精を付けましょう」という古来の考えにうなぎが結びつき、現代でも日が近づくと売り場や店が賑わいます。このうなぎ、市場に出回っている90%以上は養殖もの。近年は新しい技術も開発され、質のいいものが出回っています。今回は、養殖うなぎの代表的な産地や特徴について、大阪で150年以上続く老舗『魚伊(うおい)』の社長であり、自ら養殖場も運営する半田廣行さんに話を伺いました。
半田廣行さん:慶応3(1867)年創業、川魚問屋から始まった『魚伊』社長。本店は大阪・関目高殿にあり、他、天神橋五丁目の天五店、阪神梅田本店の9階にも店を構える。デパートの食料品売り場にも出店。卸しでもあり、本店のバックヤードに立て場を設け、全国から仕入れた品質のいいうなぎを休ませ、関西各処に運ぶ。10年ほど前から、徳島でうなぎ養殖も始めた。
目次
日本のうなぎの名産地
生産量でいうと、ここ十数年ほど、順位は変わっていないと思います。
1位:鹿児島県
2位:愛知県
3位:宮崎県
4位:静岡県
特に上位3県の漁獲量が高く、全体の80%を占めるほど。
鹿児島県と宮崎県は隣接していて、両県が面する志布志(しぶし)湾でシラスウナギが獲れることもあり、養殖うなぎの産地として重要な地域です。
愛知県や静岡県では、エサを改良することで養殖うなぎの多くををメスに育てることに成功しました。2023年秋頃から市場に出回っているのですが、この技術は画期的なこと。後ほど解説しますね。
とはいえ、いいニュースばかりではありません。
ここ数年、全国的にうなぎの稚魚であるシラスウナギの不漁が続き、国が定める池入れ量に届いていない状態。電気代やエサ代が上がって、うなぎの値段は高騰。市場規模は縮小していっています。
2023年は、シラスウナギの漁獲がやや向上したこともあり、今年はどうなるか…というところではありますが、資源や環境に想いを馳せつつ、うなぎを楽しんでいただきたいな、と思います。
鹿児島県
2001年から不動の生産量全国第1位の鹿児島県。温暖な気候や、日本の名水にも選ばれる霧島水系のミネラル豊富な水、また、志布志湾でシラスウナギが獲れるなど、環境に恵まれています。雄大な地形を利用し、大規模で近代的な設備を持つ養鰻場が多いことも特色。それに伴い加工場も多く、日本のうなぎ産業を支えています。
愛知県
三河湾に面し、奥三河の名水・矢作(やはぎ)川の表流水をパイプラインで引く西尾市の「一色産うなぎ」が有名。脂がのったうなぎが獲れる地として名高く、しかも短期間で大きく育てる技術力も日本一です。
近年、うなぎ業界の一大ニュースとなっているのが、雌雄同体のうなぎに大豆イソフラボン入りのエサを与えることで、多くをメスに育てたこと。愛知県と静岡県が中心となって取り組んでいます。
養殖うなぎは通常、その大半がオスに育つんです。オスはメスに比べて小さく、身が硬いので、どうしたら柔らかい身質のメスになるか、は、ずっと研究されてきました。さらに、オスは冬至や夏至を過ぎるとエサを食べなくなるのですが、メスは食べるのでしっかり育ってくれる。つまり、破棄されることなく、きちんと商品になるんです。
私は徳島県で養殖場を持っているのですが、今年から大豆イソフラボンを混ぜたエサを試し始めました。どのように育つか、今から楽しみです。
宮崎県
温暖な気候で、大淀川や一ツ瀬川など日向灘(ひゅうがなだ)へと注ぐ河川でシラスウナギ漁が行われてきた宮崎県。1970年代から稲作転換などにより、県中部の旧佐土原町(現宮崎市)や新富町を中心に養殖が発展しました。意欲的な若い養鰻家が多く、意見交換も盛んに行い、いいうなぎを育てようとする動きがあるようです。
静岡県
日本最古の生産地・浜名湖を有する静岡県。都田川水系の下流で、遠州灘に面する汽水湖の地の利を生かした浜名湖と天竜川で養殖が行われています。その特徴は、同所で獲れたシラスウナギを使うこと。生産量は減っていますが、9〜10月頃に入る露地池うなぎは特筆モノです。
他にうなぎの町で知られる吉田町、焼津(やいづ)、大井川、中遠(ちゅうえん)などの産地があり、温暖な気候と南アルプスを源流とする大井川流域などの豊富な地下水を使用しています。愛知県と同じく大豆イソフラボン入りのエサでメス化させる動きもあり、これからますます注目のエリアです。
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東京『銀座 小十』の天然大鰻蒲焼きのレシピ
「辻󠄀調理師専門学校」大引伸昭先生による「うなぎ有馬煮 おこげを添えて」のレシピ
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