キノコの人気レシピ7選
舞茸、椎茸、シメジ、ナメコ、松茸などなど、秋の味覚といったら、やっぱりキノコ。「WA・TO・BI」でこれまで掲載してきたレシピの中から、人気の高かった7つをピックアップしました。食材の特徴を生かす技は、さすがプロならでは。ユニークなアイデアも盛り込まれた、バリエーション豊かなラインアップです。
ヒラキナメコの秋巻き——京都『乃し』
撮影/竹中稔彦
ナメコの傘が大きく開くまで生長させてから収穫するというヒラキナメコを主役に、秋の旨みを閉じ込めた春巻き。舞茸で香りを、シメジと椎茸で旨みをプラス。自家製なめ茸を調味料替わりにして自然なとろみを付けるアイデアがユニークだ。
さらに銀杏(ギンナン)と栗も具材に加えて、いっそう秋らしいにぎやかな仕立てに。そのまま何も付けずとも美味しいけれど、柚子の皮と果汁をたっぷり使った特製柚子味噌を味変調味料として添えると、和食らしさと季節感をグッと強調できる。
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裏白椎茸の揚げ出し——大阪『㐂川(きがわ)』創業者・上野修三氏
撮影/東谷幸一
“裏白”とは、正月飾りのシダ植物「ウラジロ」が由来で、材料の裏側に魚のすり身など白いものを付けた料理のこと。椎茸の笠裏に真丈地をすり付けて揚げる一品は、上野修三さんが60年ほど前に思い付いたアイデアだそう。
森の精気を抱いた朝採れの原木椎茸の豊かな香気を生かすために、真丈地は木綿豆腐、山芋とろろ、卵白をすり混ぜて塩で調味したシンプルなもの。揚げ衣の繋ぎには卵白を使い、表面にみじん粉をまぶして、程よい香ばしさと原木椎茸が持つアワビのような弾力との食感のコントラストを生む。椎茸も真丈地も、温めるぐらいの火入れに留めてフレッシュ感を残して。揚げだしに干し椎茸の戻し汁を使う椎茸の重ね使いで旨み深く仕上げる。
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鱧松の飯蒸し——大阪『お料理 山田』
撮影/東谷幸一
鱧と松茸という王道の組合せで挑んだ、独創的な飯蒸し。太白ゴマ油で炒めた松茸をカツオ昆布だしでのばした“松茸のすり流し”をあんの替わりに。もち米を太白ゴマ油で炒めることで、味に調和を生んでいる。
炒めたもち米は鱧の頭と中骨でとっただしで旨みを含ませてから蒸して、リゾットのような少しだけ芯のある硬さにするのが、輪郭ある味わいになるポイント。鱧の天ぷらでボリュームを出し、振り柚子の柑橘香で爽やかに味を締める。
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松茸の3種遊び揚げ——京都『松むろ』
撮影/東谷幸一
傘の開き具合や部位による味の違いを生かした、松茸の揚げ物3種。
香りが強い“つぼみ”の松茸は、スダチの輪切りを挟んで衣厚めの天ぷらに。傘が開き切るほど大きく育ち過ぎた松茸の軸は、味も香りも物足りない。そこで鱧で巻いて旨みを、もち粉をまぶして香ばしさを添えて深みを出す。
最後に残った大きな傘は、その肉厚な食感を生かして外はカリカリ、中はジューシーなフライに。ウスターソースを添え、あえて気取らないスタイルで楽しく仕上げる。
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牛ヒレ 木の子春雨黒酢炒め——東京『銀座 小十』
撮影/大山裕平
シメジ、舞茸、平茸と共に甘辛い黒酢ダレで炒めた春雨に、炭火焼して大ぶりにカットした牛ヒレ肉を添えた、バランス次第でメインにも強肴にもなる一品。醤油とみりんだけの甘辛味では残暑の時季に味が重すぎるので、黒酢を加えてさっぱりした味わいに。キノコと牛ヒレ肉だけで味と見た目が単調になるのを防ぐために、赤と黄色のパプリカ・ピーマンの細切りでシャキシャキ感と色味を添える。
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香茸のコロッケ 山椒ソース——東京『麻布 和敬』
撮影/大山裕平
名前の通り、“香茸”最大の魅力は香り。その香りを閉じ込めた和のポテトコロッケは、あっさりとした上品なコクが持ち味のカルピスバターが、香茸とジャガイモの繋ぎ役。カルピスバター風味のホワイトソースでのばしたクリーミーなマッシュポテトに、同じくカルピスバターでソテーした香茸と玉ネギを混ぜ合わせて俵型に整えたら、タネは出来上がり。
焼いた牛スジの旨みだけを溶かし込んだ山椒ソースを付けていただけば、和食らしいシャープな香味が後口を爽快にチェンジ。動物由来のコクと満足感がありながらも重すぎない印象に。
▼香茸のコロッケ 山椒ソースのレシピの詳細はコチラ
鴨香茸ごはん——東京『懐石 小室』
撮影/大山裕平
脂ののった天然真鴨と、林に自生する幻の茸・香茸の、得も言われぬ香りのコンビネーションを楽しめる炊き込みご飯。
真鴨は胸肉の皮目をこんがり焼いて香りを出すと同時に、旨みを閉じ込めてから角切りに。傷みやすい香茸は、しゃくしゃくとした食感が失われないよう、蒸してから冷凍しておいたものを使用。下準備を終えた鴨肉、香茸と米をザッと混ぜ合わせ、硬めの水加減で炊き上げる。
各々の具材から旨みが出るので、だしの他の調味料は日本酒と薄口醤油のみで充分。仕上げはあられに切った柚子を散らすのみに留めて、素材の持ち味を率直に愉しませる。
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