和インのマリアージュ

料理人のためのソムリエ試験対策 Vol.18 三次試験・論述試験対策

一次試験を突破したら、次に備えたいのが二次のテイスティング試験と同日に行われるソムリエ呼称のみが対象の「論述試験」です。過去10年の設問を並べてみると、問われているのは単なる知識だけではないことが見えてきます。さらに近年は、ソムリエ協会が採点のポイントを公表。どんな視点で解答すればよいのかが、より具体的に見えるようになりました。まずは過去問を振り返り、出題傾向を掴むところから始めましょう。

文:松岡正浩 
松岡正浩(「合同会社 まじめ2」代表 / 大阪・谷町四丁目『Fujiya1935』ソムリエ)

兵庫県出身。山形大学に進学後、県内のホテルに就職。東京『タテル ヨシノ 芝』にて本格的にフランス料理の世界に入り、その後、渡仏。『ステラ マリス』を経て、パリの日本料理店『あい田』ではシェフソムリエとして迎えられた。帰国後、和歌山『オテル・ド・ヨシノ』にて支配人兼ソムリエを務め、2016年、日本料理『柏屋』へ。こちらでも支配人兼ソムリエを務め、ワイン・日本酒を織り交ぜたペアリングコースを提案。レストランガイド「Gault&Millau(ゴ・エ・ミヨ)2021」にてベストソムリエ賞受賞。2022~23年、京都・御所東のフランス料理『Droit(ドロワ)』においてギャルソンとして勤務。23年6月より、大阪・北新地の中国料理『空心 伽藍堂』にてシェフソムリエを務める。26年より大阪のレストラン『Fujiya1935』にてソムリエを務める。

昨年、こちらでお伝えしていたソムリエ試験対策。採点上は三次試験としてサービス実技とあわせて評価される「論述試験」について取り上げていませんでしたので、2025年の試験内容もふまえてお伝えいたします。

2016年からこのスタイルに落ち着いた論述試験、選択肢のある一次試験とは違い、問いに対して文章で答えなくてはいけないという設問が3問並びます。ワインに関する知識を筋道を立てて文章で説明する力が求められます。

それでは、早速過去に出題された設問を見てみましょう。


まずは過去問から、論述試験の傾向を掴む

2016年
①初めてワインを飲むお客様に、テイスティング試験で供出された3番目のワイン(正解はシラーズ:オーストラリア)について説明してください。
②「赤ワインを冷やして飲みたい」とおっしゃるお客様に薦めるワインとお料理を提案してください。
③「ひやおろし」とは何か説明しなさい。

2017年
①テイスティング試験で供出された1番目のワイン(正解は甲州:日本)に合わせてお勧めする料理を提案してください。
②「オレンジワイン」について説明しなさい。
③2018年10月30日に施行される新しい「日本ワインのラベル表示ルール」について説明しなさい。

2018年
①テイスティング試験で供出された2番目のワイン(正解はリースリング:フランス)に合う料理とその理由を答えなさい。
②ジョージアワインについて説明しなさい。
③日本におけるチリワインの今後の展望について述べなさい。

2019年
①テイスティング試験で供出された1番目のワイン(正解はアリゴテ:フランス)をワインを初めて飲むお客様に説明しなさい。
②「ケソ・マンチェゴ」について説明しなさい。
③日本ワインの地理的表示について述べなさい。

2020年
①ワイン初心者のお客様に自宅で飲むワインをお勧めしてください。
②マスカット・ベーリーAと相性の良い料理を1つあげ、その理由を書きなさい。
③オーストリアのゼクトg.U.について説明しなさい。

2021年
①カリフォルニアのシャルドネ種の白ワインを飲むお客様に対して、お勧めの料理を 1 つ提案し、理由を含めて説明してください。
②小売価格 1 万円相当のワインを注文(または購入)したお客様から、「味がおかしい」というクレームがありました。あなたの対応を詳細に説明してください。
③ワインの生産から消費までの過程において、「サステイナブルな取り組み」の事例を 1 つ挙げて説明してください。

2022年
①テイスティング試験で供出された3番目のワイン(正解はシラーズ:オーストラリア)と相性が良いと思われる料理を 1 つ挙げ、理由と共に 200 文字以内で説明してください。
②ロゼワインの醸造法とそれぞれのタイプの魅力、楽しみ方について 300 字以内で説明してください。
③ワインを「熟成させる保管」をするために必要な条件について説明してください。

2023年
①テイスティング試験で供出された1番目のワイン(正解はソーヴィニヨン・ブラン:フランス)をワインショップで販売するにあたり、POP(Point of Purchase)を作成することになりました。自身のテイスティングに基づき、枠内を自由に使用してコメントを書いて(描いて)ください。
②ワインにあまり詳しくないお客様からオーガニックワインについて聞かれました。300 字以内で説明してください。
③料理に相応しいワインを考察する上でのポイントを述べてください。

2024年
①あなたはスーパーマーケットで酒類販売の担当をしています。テイスティング試験で供出された1番目のワイン(正解はリースリング:ドイツ)をプロモーションとして1カ月間販売するにあたり、あなたが考える方策を 300 字以内で説明してください。
②自宅でよくチーズを楽しんでいるというお客様にワインを提案してください。また、その理由や楽しみ方などを含めて200 字以内で説明してください。
③日本における地理的表示制度(GI)で「ぶどう酒」を除く飲料について簡潔に200 字以内で説明してください。


2025年の設問と「採点のポイント」

2025年は設問と共にソムリエ協会発表による採点基準もあわせてお伝えします。

2025年
①テイスティング試験で供出された3番目のワイン(正解はジンファンデル:アメリカ)に合う料理を1つ挙げ、理由と共に 200 字以内で説明してください。

【採点のポイント】
一番のポイントは「実際に試してみたいか」
プロフェッショナルとして簡潔で明快、論理的であることもポイント
・ワインの説明(香りや味わい、特徴)があるか
・テイスティングで得た情報が理由に落とし込まれているか
・相性の良さに関して述べられているか
・理由に論理性があるか
・実際に試してみたいか

②ロゼワインと日本食の相性について、あなたの考えを300 字以内で述べてください。

【採点のポイント】
一番のポイントは「ロゼワインに関する製法やタイプなどが説明されているか」
プロフェッショナルとして幅広い視点で述べられているかもポイント
・日本食に関しての包括的な言及があるか
・ロゼワインに関しての醸造的な特徴や味わいの言及があるか
・具体的な例を挙げているか
・理由に論理性があるか

③最近、チーズに興味を持ち始めたお客様から「十勝ラクレット」について尋ねられました。400 字以内 で説明してください。

【採点のポイント】
一番のポイントは「正確な情報」
チーズで初めてGIに登録されたと説明できているかがポイント
(*2023年3月に北海道の「十勝ラクレット」がチーズでは初のGIに登録された)
・GIについて述べられているか
・チーズのタイプや製法について述べられているか
・味わいについて述べられているか
・相性の良い飲み物などに関しての言及があるか
・食べ方などに関して(料理など)説明があるか


知識を「自分の言葉」にする練習を始める

これまで、教本や参考書を頼りに一次試験対策を積み重ねてきました。次はその知識を、実際に文章として表現する練習に取り組む段階です。

「今から始めて間に合うだろうか」という不安もあるかと思いますが、それは他の受験者も同じです。ソムリエ協会も完璧な模範解答を求めているわけではありません。これまで暗記してきたワインの知識を、自分の言葉で文章にする練習を重ねればよいのです。

試験当日までまだ一か月と少しあります。まずは、上記の過去問に目を通してみてください。一次試験を乗り越えた今のあなたなら、勉強を始めた頃とは違う視点でこれらの設問に向き合えるはずです。
そして、調べながらで構いませんので、実際に一問ずつ書いてみましょう。書くことを通して、解答の組み立て方や流れが掴めるはずです

次回は、この「論述試験」の具体的な対策についてお伝えします。

▼料理人のためのソムリエ試験対策 他の回はコチラから。

Vol.1 概要編
Vol.2 一次試験対策前にすべきこと
Vol.3 一次試験対策の準備と春先までの勉強法
Vol.4 一次試験対策、教本と過去問を利用した勉強法
Vol.5 二次試験対策の準備
Vol.6 二次試験対策として意識すべきワインについて
Vol.7 テイスティングして書き留める
Vol.8 ワインの酸とアルコール
Vol.9 主要白ブドウ品種の特徴
Vol.10 主要黒ブドウ品種の特徴 その1
Vol.11 主要黒ブドウ品種の特徴 その2
Vol.12 ラストスパート!一次試験前二ヶ月間の一次試験対策
Vol.13 二次試験を意識したテイスティング
Vol.14 白ワインを3つのタイプに分ける
Vol.15 赤ワインのタイプ分け
Vol.16 二次のテイスティング対策最終章~「模範テイスティングコメントを暗記する」
Vol.17 三次試験・サービス実技対策

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